結婚した年は、配偶者ができたことでふるさと納税の上限額の目安も変わるのか、入籍する前の収入や結婚相手の年収はどう関わるのかと迷いやすい年です。本記事は、配偶者控除・配偶者特別控除が判定される時点と、結婚相手の所得が関わる仕組みを、国税庁などの公式情報をもとに整理するものです。個別の税額や上限額を計算・断定するものではありません。2026年10月時点の情報で、年分(令和何年分か)を分けて書いています。
結婚した年に、上限額の目安が変わることがある理由
ふるさと納税の控除は、寄付をした本人の所得税・住民税から差し引かれる仕組みです。総務省は、所得税からの控除額の計算に使う税率について「その納税者に適用される税率を用います。」と説明しています(総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」)。つまり、上限額の目安は、本人の所得や、本人が受ける所得控除によって変わります。
結婚すると関わってくるのが、配偶者控除と配偶者特別控除です。どちらも、控除を受ける納税者本人の所得から差し引く所得控除です。国税庁は配偶者特別控除の控除額について「控除額は、控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額および配偶者の合計所得金額に応じて次の表のようになります。」と説明しています(国税庁「No.1195 配偶者特別控除」)。また、国税庁は「配偶者特別控除は夫婦の間で互いに受けることはできません。」としており、夫婦のどちらか一方が受ける控除です。
所得控除が増えると、課税される所得が減って所得税・住民税の額も小さくなるため、ふるさと納税の控除上限額の目安は下がる方向に働きます。これは一般的な仕組みの説明で、実際にいくら変わるかは、本人と結婚相手の所得や他の控除によって異なります。この記事では金額の計算はしません。
判定の時点は、その年の12月31日の現況
配偶者控除の対象になる配偶者(控除対象配偶者)について、国税庁は「控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で、次の4つの要件のすべてに当てはまる人です。」と説明しています(国税庁「No.1191 配偶者控除」)。このうち、結婚した年に確認したい要件は次の3つです。
- 「民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)」
- 「納税者と生計を一にしていること」
- 「年間の合計所得金額が62万円以下」(年分によって金額が異なります。次の見出しで説明します)
(いずれも国税庁「No.1191 配偶者控除」より)
判定の基準が12月31日の現況ですから、年の途中で結婚した場合も、12月31日の時点でこれらの要件に当てはまるかどうかが基準になります。婚姻届を出す前の事実婚(内縁)の状態は、上の要件では対象になりません。
結婚相手の所得で、対象になるかどうかが変わる
配偶者控除の対象になるかどうかは、結婚相手のその年の所得で決まります。国税庁のページでは、要件の金額に年分ごとの違いが付けられています。
| 対象 | 年分・年度 | 配偶者の合計所得金額の要件 |
|---|---|---|
| 所得税の配偶者控除 | 令和7年分(2025年分) | 58万円以下 |
| 所得税の配偶者控除 | 令和8年分以後(2026年分以後) | 62万円以下 |
| 個人住民税(仙台市の案内) | 令和9年度(2026年中の収入が対象) | 62万円以下 |
所得税については、国税庁「No.1191 配偶者控除」が「年間の合計所得金額が62万円以下」としたうえで、「令和7年分は58万円以下」と年分の違いを示しています。配偶者の収入が給与だけの場合は、「給与のみの場合は給与収入が136万円以下」とも書かれています(令和8年分以後。令和7年分は金額が異なります)。ここでいう収入は、手取りではなく、税金や社会保険料を引く前の給与の金額を指します。
住民税は、所得税と適用される年度がずれます。仙台市は「令和8年1月1日から令和8年12月31日までの収入を基礎とする令和9年度の個人市県民税から、各種扶養控除等の適用を受ける場合における所得要件額が以下のとおり引き上げられます。」と案内し、配偶者控除などの所得要件を「62万円以下(136万円以下)」としています(仙台市「令和9年度(令和8年分)から適用される個人市県民税の税制改正等について」)。2026年に結婚した場合、所得税は令和8年分、住民税は令和9年度が関わるため、どちらも62万円以下の要件で見ることになります。2027年以降の年や、お住まいの自治体の案内は、その年分の公式案内で確認してください。
結婚相手の所得が配偶者控除の要件を超える場合でも、配偶者特別控除の対象になることがあります。国税庁は「配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる場合があります。これを配偶者特別控除といいます。」と説明しています(国税庁「No.1195 配偶者特別控除」)。令和8年分以後の所得区分や控除額は、No.1195で確認してください。この記事では金額の表は載せません。
上限額の目安を調べるときの進め方
結婚した年は、本人と結婚相手の両方の、その年の所得が分かるまで、正確な上限額は分かりません。上限額のもとになるのは寄付をする年の所得等で、見込みで調べることになります(考え方はふるさと納税の控除上限額は「いつの年収」で決まる?で解説しています)。
- 12月31日に配偶者になっている見込みかを確認する:婚姻届を出す時期が年内かどうか、生計を一にするかどうかを整理します。
- 結婚相手のその年の収入・所得の見込みを確認する:給与明細や、前年の源泉徴収票を手がかりにします。結婚前の期間の収入の扱いははっきりしないため、年間の合計額と結婚後の分の両方を把握しておくと、相談するときに話が早くなります。
- 自分の見込み年収と、受けている他の控除を確認する:住宅ローン控除や医療費控除などがあれば、あわせて整理します。
- シミュレーターの詳細入力に入れる:配偶者の有無や配偶者の収入を入力する欄があるシミュレーターでは、その欄に入力します。入力項目はサイトによって異なります。基本的な使い方はふるさと納税の控除上限額を調べる方法で解説しています。
- 結果は目安として使う:結婚相手の年収がまだ見込みの段階なら、配偶者控除の対象になる場合とならない場合の両方で試し、低いほうの金額を目安にすると、余裕を持たせやすくなります。
上限額の目安が分かったら、ポータルサイトから寄付先を選びます。ポータルサイトの一つに、次のサービスがあります。
共働きのまま結婚した場合
結婚相手に十分な所得があり、配偶者控除・配偶者特別控除のどちらも受けない場合は、それぞれが自分の上限額の範囲で寄付を考えることになります。上限額は夫婦で合算せず、寄付をする人ごとに決まります。目安表の見方や、寄付の名義・ワンストップ特例の申請は、共働き夫婦が控除上限額を調べるときの注意点で解説しています。
苗字や住所が変わったとき
結婚で苗字や住所が変わった場合の、ワンストップ特例の変更届出書については、ワンストップ特例を申請した後に引っ越したらで解説しています。この記事では、上限額の目安の話だけを扱います。
個別の税務相談についての注意
上限額を超えてしまった場合
結婚相手が配偶者控除の対象になるかどうかの見込みを誤り、上限額を超えて寄付をしてしまうこともあります。総務省は、上限額を超える場合について「実質負担額は2,000円を超えます」と説明しています(総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」)。上限額を超えた分は、自己負担が増えることになります。具体的な計算は、総務省のページにあるとおり「具体的な計算は、お住まいの市区町村にお問い合わせください。」とされています。
まとめ
結婚した年は、配偶者控除・配偶者特別控除の対象になるかどうかで、控除上限額の目安が変わることがあります。配偶者控除は、その年の12月31日の現況で判定されます。結婚相手の所得の要件は年分で異なり、令和8年分以後の所得税と令和9年度の住民税(仙台市の案内)は62万円以下です。結婚前の収入の数え方など、はっきりしない点は、税務署や税理士に確認してください。目安は見込みの段階では余裕を持たせて決めましょう。
ふるさと納税全体の流れは、ふるさと納税、初めての会社員が知っておきたい一連の流れで解説しています。


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