ふるさと納税は、控除上限額の範囲内であれば自己負担2,000円で寄付できますが、この上限額は年収や家族構成によって一人ひとり異なります。本記事は、総務省が公開している目安の表や、各ポータルサイトの公式シミュレーターを使って上限額の目安を調べる方法を解説するものであり、個別の税額を計算・断定するものではありません。
控除上限額とは何か
ふるさと納税は、控除上限額の範囲内であれば、寄付額から自己負担分の2,000円を差し引いた金額が、所得税の還付や翌年度の住民税の控除という形で戻ってくる制度です(総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」)。ここでいう「控除上限額」とは、2,000円の自己負担だけで寄付できる金額の上限のことです。上限を超えて寄付した分は、超えた金額がそのまま自己負担になります。
上限額は、寄付をする本人の年収や家族構成、他に受けている控除の状況によって一人ひとり異なり、全国一律の金額ではありません。次の見出しから、その目安を調べる方法を解説します。
上限額に影響する主な要素
控除上限額の目安は、主に次のような要素で変わります。
- 年収(所得):給与収入や所得金額が上がるほど、納めている所得税・住民税の額が増えるため、上限額の目安も上がります。
- 家族構成:配偶者の有無や、扶養している家族の人数・年齢(中学生以下か、16〜18歳か、19〜22歳かなど)によって、所得税・住民税の控除額が変わるため、上限額の目安も変わります。上限額は寄付をした本人ごとに計算されるものであり、夫婦であっても世帯で合算されるわけではありません。
- ふるさと納税以外に受けている控除:住宅ローン控除、医療費控除、iDeCoの掛金控除などを受けている場合、その分だけ上限額の目安が変わることがあります。
- その年から新しく適用される控除:税制改正によって、控除の内容が年によって変わることもあります。例えば19歳以上23歳未満の親族がいる場合に適用される特定親族特別控除は、2025年分の所得税から新たに設けられ、2026年分からは対象となる親族の所得の範囲が見直されています。子どもが高校生・大学生の場合の扶養の扱いは、子どもが高校生・大学生になった年のふるさと納税で解説しています(国税庁「No.1177 特定親族特別控除」)。対象になりそうな方は、シミュレーターの案内や源泉徴収票の記載が前年と変わっている可能性がある点に注意してください。
なお、「ふるさと納税の上限に193万円の壁ができる」というニュースは、2027年(令和9年)の寄付分から適用される特例控除額の定額上限の話であり、2026年の寄付には関係ありません(総務省「ふるさと納税について(指定基準に係る告示改正)」令和8年3月24日)。詳しくはこちらの記事で解説しています。
公式シミュレーターの使い方
まず総務省の目安の表で大まかにあたりをつける
総務省は「全額(※)控除されるふるさと納税額(年間上限の目安)」(※2,000円を除く)という表を公開しています(総務省「ふるさと納税制度とは」)。この表は、給与収入のみで、住宅ローン控除や医療費控除などふるさと納税以外の控除を受けていない給与所得者を対象にした目安であり、社会保険料控除は給与収入のおおむね15%と仮定して計算されています(鹿児島市「全額控除される寄附額の目安」)。一部を抜粋すると、次のようになっています。
| 給与収入 | 独身 | 夫婦+子1人 | 夫婦+子2人 |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 6.1万円 | 4.0万円 | 2.8万円 |
| 750万円 | 11.8万円 | 8.7万円 | 7.6万円 |
| 1,000万円 | 18.0万円 | 15.7万円 | 14.4万円 |
| 2,000万円 | 56.9万円 | 55.2万円 | 53.6万円 |
(総務省「ふるさと納税制度とは」の表より抜粋)。より詳細な区分を載せた鹿児島市「全額控除される寄附額の目安」の表では、注記で「夫婦」は配偶者に収入がないケースを指すとされており、扶養する子の年齢(高校生・大学生など)によってさらに細かく分かれています。共働きの方が見る列については、共働き夫婦が控除上限額を調べるときの注意点で解説しています。
より詳細な区分を載せた鹿児島市の表にも、「あくまで目安であり、具体的な計算は、お住まい(ふるさと納税翌年1月1日時点)の市区町村にお尋ねください」と書かれています(鹿児島市「全額控除される寄附額の目安」)。
より詳細な区分の表についても、鹿児島市が、この表を掲載しているページで「令和7年度税制改正により、実際の寄附上限額が、試算の寄附上限額とは異なる場合があります」と注記しています(鹿児島市「寄附に伴う税の優遇措置・ワンストップ特例申請」)。
シミュレーターに入力する主な項目
各ふるさと納税ポータルサイトは、上限額の目安を計算できるシミュレーターを提供しています。入力する項目はサイトによって多少異なりますが、一般的には次のような手順で進みます。
- 源泉徴収票、またはその年の見込みの年収を用意する:寄付をする年の源泉徴収票はその年が終わるまで発行されないため、見込みで年収を入力することになります。前年の源泉徴収票を参考にしつつ、上限ぎりぎりを狙わず余裕を持たせて少なめに見積もる考え方もあります。源泉徴収票を使う場合、主に確認する欄は「支払金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」です(各欄の定義は国税庁の手引きページで確認できます)。どの欄をどう入力するかは、利用するシミュレーターの案内に従ってください。
- 家族構成を入力する:配偶者控除・扶養控除の有無、扶養している家族の年齢を入力します。
- ふるさと納税以外に受けている控除を入力する:住宅ローン控除、医療費控除、iDeCoの掛金控除などがある場合は、該当する欄に入力します。
- 表示された金額は「目安」として利用する:シミュレーターが示す金額は、入力した情報をもとにした概算です。実際の上限額は、寄付をした翌年1月1日時点で住んでいる市区町村での計算によって確定します。
上限額の目安が分かったら、次は寄付先を選ぶ段階です。ふるさと納税のポータルサイトの一つに、次のサービスがあります。
例として、楽天ふるさと納税で見つけたお米の返礼品です。先行受付の新米のため、発送時期・内容量・寄付額は掲載ページで確認してください。
先行受付 新米 令和8年産 さがびより 5kg 佐賀県 鹿島市
個別の税務相談についての注意
上限額を超えてしまった場合
総務省は、住民税からの控除(特例分)が住民税所得割額の2割を超える場合について、「3つの控除を合計しても(ふるさと納税額-2,000円)の全額が控除されず、実質負担額は2,000円を超えます」と説明しています(総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」)。つまり、控除上限額を超えて寄付をすると、超えた分は控除されず、自己負担が2,000円より増えることになります。特別なペナルティがあるわけではありませんが、自己負担額が増えるだけになってしまいます。上限額はその年の年収が確定してはじめて正確にわかるものなので、見込みで調べている段階では、目安の金額ぎりぎりを狙うのではなく、少し余裕を持たせて寄付額を決めておくと安心です。
まとめ
控除上限額は、総務省が公開している目安の表や、公式シミュレーターを使うことで、大まかな金額を把握できます。ただし、いずれも目安であり、実際の上限額は年収の確定状況や家族構成、他の控除の有無によって変わります。具体的な金額が気になる場合は、シミュレーターの結果を参考にしつつ、必要に応じて税務署・お住まいの自治体・税理士に確認してください。
ふるさと納税全体の流れは、ふるさと納税、初めての会社員が知っておきたい一連の流れで解説しています。ワンストップ特例の具体的な申請方法は、ふるさと納税のワンストップ特例のやり方で解説しています。


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