共働きの夫婦がふるさと納税を始めるとき、多くの人が迷うのが「控除上限額は夫婦でいくらなのか」「目安の表のどの列を見ればいいのか」という点です。本記事は、共働き世帯が上限額の目安を調べるときに押さえておきたい考え方と注意点を、総務省・国税庁・自治体などの公式情報をもとに解説するものであり、個別の税額や上限額を計算・断定するものではありません。上限額の調べ方そのもの(目安表とシミュレーターの基本)は、ふるさと納税の控除上限額を調べる方法で解説しています。
控除上限額は夫婦で合算せず、1人ずつ決まる
ふるさと納税の控除は、寄付をした人本人の所得税・住民税から差し引かれる仕組みです。たとえば所得税からの控除額の計算に使う税率について、総務省は「その納税者に適用される税率を用います」と説明しています(総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」)。
このため、控除上限額は世帯で1つではなく、寄付をする人ごとに、その人の収入や控除の状況で決まります。共働きで夫婦それぞれが所得税・住民税を納めている場合は、夫は夫の上限額の範囲で、妻は妻の上限額の範囲で寄付を考えることになります。夫婦の上限額を足し合わせて、どちらか1人の名前でまとめて寄付する、という使い方はできません。
目安の表で、共働きの人はどの列を見るか
総務省の資料に載っている目安の表は「独身」「夫婦+子1人」「夫婦+子2人」の3つの区分で、「共働き」の列がありません(総務省「ふるさと納税制度とは」)。後で紹介する鹿児島市の表の注記では「夫婦」は配偶者に収入がないケースとされており、共働きの人が「夫婦」の列を見ると、実際とは違う金額を目安にしてしまうおそれがあります。
家族構成の区分がより細かい表として、鹿児島市が「全額(※)控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安」を公開しています。この表は「ふるさと納税をした者本人の給与収入とその家族構成のパターン別」の目安で、共働きの人を想定した列があります(鹿児島市「全額控除される寄附額の目安」)。区分の意味は、表の注記で次のように説明されています。
- 「共働き」は、ふるさと納税をした者本人が配偶者(特別)控除の適用を受けていないケースを指します。(配偶者の給与収入が201万円超の場合)
- 「夫婦」は、ふるさと納税をした者の配偶者に収入がないケースを指します。
- 中学生以下の子供は(控除額に影響がないため)、計算に入れる必要はありません。
表の列は「独身又は共働き」「夫婦」「共働き+子1人(高校生)」「共働き+子1人(大学生)」「夫婦+子1人(高校生)」「共働き+子2人(大学生と高校生)」「夫婦+子2人(大学生と高校生)」の7つです。共働きで子どもがいない場合や、子どもが中学生以下だけの場合は、「独身又は共働き」の列を見ることになります。給与収入によっては、同じ行でも「夫婦」の列のほうが「独身又は共働き」の列より低い金額になっているため、列を取り違えないことが大切です。
配偶者の収入が少ない場合は、表ではなくシミュレーターで
目安の表にあるのは「共働き(配偶者控除・配偶者特別控除を受けていない)」と「夫婦(配偶者に収入がない)」の2つの区分だけです。配偶者にパートなどの収入があり、本人が配偶者控除や配偶者特別控除を受けている場合は、どちらの列にもぴったりは当てはまりません。
配偶者控除・配偶者特別控除は、納税者本人が受ける所得控除で、配偶者の所得金額などによって受けられるかどうかや金額が変わります(国税庁「No.1191 配偶者控除」、国税庁「No.1195 配偶者特別控除」)。所得控除が増えると本人の所得税・住民税が変わるため、配偶者控除・配偶者特別控除を受けているかどうかで、本人の控除上限額の目安も変わります。なお国税庁は「配偶者特別控除は夫婦の間で互いに受けることはできません」と説明しています。
この場合は、目安の表で当てはめようとせず、シミュレーターの詳細入力で配偶者控除・配偶者特別控除の有無や配偶者の収入を入力して確認してください。
公式シミュレーターの使い方(共働き夫婦の場合)
各ふるさと納税ポータルサイトのシミュレーターの基本的な使い方はこちらの記事で解説しています。共働き夫婦が使うときは、次の点に注意してください。
- 夫と妻で1回ずつ、別々に試算する:入力するのは「寄付をする本人」の年収や控除です。夫婦の年収を合計して入力しないでください。
- 本人の源泉徴収票(またはその年の見込みの年収)を用意する:夫の試算には夫の、妻の試算には妻の収入を使います。
- 本人が受けている控除を入力する:配偶者控除・配偶者特別控除を受けていない(共働きの区分)か、受けているかで結果が変わります。受けている場合は、詳細入力の画面で配偶者の収入などを入力します。扶養控除なども、試算する本人が受けている分を入力します。
- 表示された金額は「目安」として使う:鹿児島市の表にも「あくまで目安であり、具体的な計算は、お住まい(ふるさと納税翌年1月1日時点)の市区町村にお尋ねください」と書かれています。
夫婦それぞれの上限額の目安が分かったら、次は寄付先を選ぶ段階です。ふるさと納税のポータルサイトの一つに、次のサービスがあります。
寄付の名義と支払いの名義をそろえる
上限額を1人ずつ調べたら、寄付の申込みも1人ずつ、控除を受ける本人の名義で行います。生駒市は、家族名義のクレジットカードでの決済について「原則として、寄附金控除を受ける方(寄附者)と決済をする方は同一である必要があります」と案内しています。また、同市はクレジットカードの名義を知ることができないため、申し込まれた寄附者名で寄附金受領証明書を発行する、とも説明しています(生駒市「家族名義のクレジットカードで決済していいですか。」)。
ワンストップ特例は、夫婦それぞれが自分の寄付先に申請する
確定申告をせずに控除を受けられるワンストップ特例は、「確定申告の不要な給与所得者等で、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内である場合に限り」利用できる制度です(総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」)。夫婦それぞれが寄付をした場合、申請も寄付をした本人が行います。ポータルサイトのふるなびは、「共働き夫婦がそれぞれワンストップ特例を利用する場合、夫と妻が各自で寄附先すべての自治体に対して個別に申請書を提出しなければなりません」と案内しています(ふるなび公式ブログ「共働き夫婦のふるさと納税ガイド」)。
申請書の書き方や期限、本人確認書類については、ふるさと納税のワンストップ特例のやり方で詳しく解説しています。
個別の税務相談についての注意
上限額を超えてしまった場合
総務省は、住民税からの控除(特例分)が住民税所得割額の2割を超える場合について、「3つの控除を合計しても(ふるさと納税額-2,000円)の全額が控除されず、実質負担額は2,000円を超えます」と説明しています(総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」)。つまり、控除上限額を超えて寄付をすると、超えた分は控除されず、自己負担が2,000円より増えることになります。共働き夫婦の場合、夫婦の上限額の合計の範囲内であっても、1人の上限額を超えた分はその人の自己負担になる点に注意してください。見込みの年収で調べている段階では、夫婦それぞれ、目安の金額ぎりぎりではなく少し余裕を持たせて寄付額を決めておくと安心です。
まとめ
共働き夫婦の控除上限額は、夫婦で合算せず、寄付をする本人ごとに決まります。目安の表を見るときは、「夫婦」ではなく「共働き」を含む列(子どもがいない、または中学生以下だけなら「独身又は共働き」)を見ます。配偶者控除・配偶者特別控除を受けている場合は、シミュレーターの詳細入力で確認してください。寄付の名義と支払いの名義は控除を受ける本人にそろえ、ワンストップ特例も夫婦それぞれが自分の寄付先に申請します。
ふるさと納税全体の流れは、ふるさと納税、初めての会社員が知っておきたい一連の流れで解説しています。


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