定年後に再雇用などで働きながら公的年金も受け取っていると、源泉徴収票が給与と年金で2枚になります。ふるさと納税の控除上限額の目安は給与の1枚だけで見てよいのか、確定申告は要るのか、ワンストップ特例は使えるのかが分からず、手が止まっている方も多いと思います。この記事は、2026年10月時点で確認できた国税庁・自治体・ポータルサイトの案内をもとに、調べる順番を整理するものです。個別の税額や控除上限額は計算せず、年金の受け取り方や働き方についての助言もしません。上限額の目安の調べ方の基本はふるさと納税の控除上限額を調べる方法にまとめています。
年金も所得になる:公的年金等は雑所得
国税庁は、公的年金等の所得の計算を「公的年金等は、年金の収入金額から公的年金等控除額を差し引いて所得金額を計算します。」と説明しています(国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」)。同じページでは、公的年金等は雑所得となるものとして扱われています。
つまり年金にも、給与とは別に、収入から控除額を差し引いて所得を求める仕組みがあります。同じページには年齢が65歳以上の人の計算例や速算表が載っており、控除額の計算は年齢などの区分で分かれています。この記事では、速算表の数字の書き写しや、公的年金等控除額の計算は行いません。自分の年金の所得がいくらになるかは、国税庁の同ページや、税務署・税理士で確認してください。
控除上限額の目安は、給与と年金を合わせて調べる
下松市は「ふるさと納税の上限額は、所得税の課税所得額と住民税の所得割額から試算することができます」と説明しています(下松市「ふるさと納税の上限額の計算方法について」)。年金も所得の計算に入る以上、給与の源泉徴収票だけで見ると、年金の分が抜け落ちることになります。
また、同じ下松市は「ふるさと納税を行う時点では、その年の所得や所得控除が確定していないため、正確な上限額を算出することはできません。」とも案内しています(下松市)。調べるのは、あくまで目安です。進め方の一例は、次のとおりです(公式に定められた手順ではありません)。
- 源泉徴収票を2枚そろえる。 給与の源泉徴収票と、年金の源泉徴収票です。寄付をする年の分はまだ発行されていないため、前年の2枚を手がかりに、その年の見込みを考えます。給与の源泉徴収票の欄の見方は、控除上限額を調べる方法の記事で解説しています。
- 年金の収入を入れられるシミュレーターを選ぶ。 年収と家族構成だけを入れる簡易なタイプでは、年金の分が入らない場合があります。ふるなびは、本格シミュレーションで給与収入以外の所得情報などを入力するとより正確なシミュレーションが可能と案内しています(ふるなび 控除上限額シミュレーションのページ)。
- 入力欄に、年金と給与を分けて入れる。 ふるさとチョイスは、年金と給与の両方がある人について、給与の源泉徴収票と年金の源泉徴収票にあるそれぞれの支払金額を、給与収入と公的年金等収入の入力欄にそのまま入力する方法を案内しています(ふるさとチョイス「【年金+給与】ふるさと納税で両方の収入がある方の限度額計算ガイド」)。これはふるさとチョイスのシミュレーターの案内です。ほかのサイトでは入力欄の名前や構成が違うことがあるため、使うサイトの説明で、年金の欄がどこにあるかを確認してください。
- ほかの控除や、給与・年金以外の所得も入れる。 医療費控除や住宅ローン控除などがある人は住宅ローン控除・医療費控除がある人のふるさと納税を、副業など給与・年金以外の所得もある人は副業がある会社員のふるさと納税をご覧ください。
- 表示された金額は目安として使う。 見込みで入れている以上、金額ぎりぎりを狙わず、余裕を持たせて寄付額を決めておくと安心です。
上限額の目安が分かったら、ポータルサイトから寄付先を選びます。ポータルサイトの一つに、次のサービスがあります。
確定申告が必要かの目安
次に、確定申告が必要かどうかです。ここは、年金だけの人向けの案内と、給与がある人向けの案内の2つがあり、両方がある人はどちらも確認することになります。
年金について。 国税庁は、確定申告が不要になる場合を「その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には確定申告の必要はありません。」と説明しています(国税庁「No.1600」)。ただし、給与所得がここでいう「公的年金等に係る雑所得以外の所得金額」にどう含まれるかは、国税庁の同ページには明記されていません。給与も受け取っている人は、この要件だけで申告不要と決めないでください。
給与について。 国税庁は、給与所得者で確定申告が必要な人の例として、「給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人」を挙げています(国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」)。年金の雑所得がこの各種の所得金額に入るのかは、このページには書かれていません。
ワンストップ特例は使えるか
ワンストップ特例の対象について、国税庁は「確定申告が不要な給与所得者の方については、ふるさと納税先が5団体以内の場合に限り」と説明しています(国税庁「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」)。自治体の案内を見ると、柏市は対象を「ふるさと納税以外で所得税の確定申告(住民税の申告を含む。)を行う必要のない方」とし、無効になる場合として「所得税の確定申告や住民税(市民税・県民税)の申告を行った場合」を挙げています(柏市(ワンストップ特例の案内ページ))。
つまり、住民税の申告を含めて申告をする必要がある人は、柏市の案内ではワンストップ特例の対象外です。年金と給与の両方がある人がワンストップ特例を使えるかを、国や自治体が直接述べたページは、この記事の作成時点では確認できていません。上の確定申告の要否の確認とあわせて、次のように整理してください。
| 確認した結果 | ワンストップ特例の考え方 |
|---|---|
| 確定申告(住民税の申告を含む)をする必要がある | 柏市の案内の要件に照らすと対象外。確定申告でふるさと納税を申告する |
| 確定申告も住民税の申告も不要と確認できた | 寄付先が5自治体以内などの条件を満たせば、使える可能性がある |
| どちらか分からない | お住まいの自治体、税務署、税理士に確認する(自治体によって案内が異なることがあります) |
寄付先の数の条件については、柏市が「納税(寄附)先が計5団体以内であること」と案内しています(柏市)。
ふるさとチョイスも、年金と給与の両方の収入がある人の多くは、ワンストップ特例ではなく確定申告が必要になると案内しています。理由としては、ワンストップ特例の申請ができるのは確定申告も住民税の申告も不要な人に限られ、年金受給者がアルバイトなどで給与を得ている場合は原則として住民税の申告義務が生じるため、と説明しています(ふるさとチョイス)。これはポータルサイト運営事業者の説明です。自分が申告の対象になるかは、お住まいの自治体の住民税の担当課か税務署で確認してください。
確定申告をする場合は、ふるさと納税も、その確定申告の中で申告します。国税庁は「確定申告を行う方は、ふるさと納税ワンストップ特例の申請が無効となるため、ワンストップ特例の申請をした分も含めて寄附金控除額を計算する必要があります」と明記しています(国税庁「No.1155」)。申請書をすでに出していても同じです。ワンストップ特例の手順はワンストップ特例のやり方の記事で、確定申告への切り替えは寄付先が6自治体以上になったときの記事で解説しています。
確認の順番のまとめ
年金と給与の両方がある年は、次の順に進めると迷いにくくなります(公式に定められた手順ではありません)。
- 給与と年金の源泉徴収票の2枚を手元に置く(寄付をする年の分は未発行なので、前年の分と今年の見込みで考える)。
- シミュレーターの詳細入力で、給与と年金の両方を入れて上限額の目安を調べる。
- 確定申告と住民税の申告が要るかを、自治体の住民税の担当課か税務署に確認する。
- 申告が要る場合は、ふるさと納税も確定申告に含める。申告が不要と確認できた場合に限り、ワンストップ特例を検討する。
- 目安に余裕を持たせて、寄付先と金額を決める。
個別の税務相談についての注意
まとめ
年金と給与の両方がある年は、控除上限額の目安を給与の源泉徴収票だけで見ず、年金の分も入れて調べます。確定申告が要るかは、年金向けと給与向けの国税庁の案内に加えて、住民税の申告の要否も、自治体や税務署で確認してください。ワンストップ特例は、確定申告や住民税の申告をする必要がある人は対象外とする自治体の案内があるため、使えると決めつけず、確定申告でふるさと納税を申告する場合もあると考えておくと安心です。
ふるさと納税全体の流れは、ふるさと納税、初めての会社員が知っておきたい一連の流れをご覧ください。


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