ふるさと納税の目安表やシミュレーターに年収や給与収入を入れるとき、銀行に振り込まれる手取りでいいのか、それとも額面なのか、交通費やボーナスは入れるのか、と迷う人は多いと思います。結論から言うと、考え方の基本は手取りではなく額面(税金や社会保険料が引かれる前の金額)です。本記事は、何を年収と呼ぶかという点を公式情報をもとに整理するものであり、個別の税額や控除上限額を計算・断定するものではありません。いつの年収で考えるかはふるさと納税の上限額はいつの年収で決まるか、目安表やシミュレーターの使い方と源泉徴収票の欄の見方はふるさと納税の控除上限額を調べる方法で解説しています。
結論:年収は手取りではなく額面で考える
ふるさと納税のポータルサイトであるふるさとチョイスは、ふるさと納税でいう年収とは、税金や社会保険料が引かれる前の総支給額(額面)を指すと説明しています(ふるさとチョイス「ふるさと納税の限度額はいつの年収で決まる?わからないときの計算方法と目安」)。同じページでは、銀行口座に振り込まれる手取り金額で計算するのは間違い、保険料や税金が引かれる前の額面金額で計算するのが正解、という整理もされています。
総務省が公開している目安の表も、見出しは「全額(※)控除されるふるさと納税額(年間上限の目安)」で、行の区分は給与収入です(総務省「ふるさと納税制度とは」)。国税庁も、給与所得控除額の表で「給与等の収入金額(給与所得の源泉徴収票の支払金額)」と、収入金額に源泉徴収票の支払金額を添えて示しています(国税庁「No.1410 給与所得控除」)。つまり、給与収入や年収と呼ばれているのは、手取りではなく、会社から支払われた給与の側の金額です。
ただし、入力欄の名前(年収・給与収入など)や案内の細かい言い回しはサイトによって違うことがあります。利用するシミュレーターの入力欄の説明を読み、その案内に従ってください。
額面とは何か:源泉徴収票の支払金額が目安になる
額面とは、税金や社会保険料が引かれる前の金額のことです。会社員の場合、いちばん確認しやすいのは源泉徴収票の支払金額です。ふるさとチョイスは、この欄には1年間に会社から支払われた給与・ボーナスの総額(税込)が記載されていると説明しています(ふるさとチョイス、前掲)。国税庁も、給与所得の説明の中で、収入金額を「源泉徴収される前の金額」としています(国税庁「No.1400 給与所得」)。
源泉徴収票のほかの欄(給与所得控除後の金額、所得控除の額の合計額など)の見方は、ふるさと納税の控除上限額を調べる方法にまとめています。この記事では、年収として入れる金額は支払金額が基準になる、というところまでにとどめます。
なお、寄付をする時点では、その年の分の源泉徴収票はまだ手元にありません。前年の支払金額を出発点にするのか、今年の見込みで考えるのかは、いつの年収で決まるかの記事で解説しています。
交通費(通勤手当)は支払金額に含まれるのか
交通費、つまり通勤手当は、一定の限度額まで非課税です。国税庁は、通常の給与に加算して支給する通勤手当や通勤定期券などは、一定の限度額まで非課税となっていると説明しています(国税庁「No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当」)。限度額を超える部分は、支給した月の給与に上乗せして源泉徴収の対象になります(同上)。
そして源泉徴収票との関係について、国税庁は、給与所得の源泉徴収票の支払金額欄には、非課税とされる部分の通勤手当の金額を除いた金額を記入すると案内しています(国税庁「通勤手当の非課税限度額の引上げについて」令和7年11月)。つまり、非課税の範囲内の交通費は、源泉徴収票の支払金額には入っていません。
ボーナス・残業代は含めて考える
ボーナス(賞与)は、給与の一部です。国税庁は給与所得について、使用人や役員等が支払いを受ける俸給や給料、賃金、歳費、賞与のほか、これらの性質を有する給与に係る所得をいうと説明しています(国税庁「No.1400 給与所得」)。前に見たとおり、源泉徴収票の支払金額にも、給与とボーナスの総額が記載されます。ですから、年収として考える金額には、ボーナスも含まれます。
残業代も、賃金として支払われる給与ですので、ボーナスと同じように考えて差し支えないと思われます。ただし、勤務先の手当の名目や扱いはさまざまです。個別の手当が含まれるかどうか分からないときは、源泉徴収票の支払金額を基準にしつつ、勤務先に確認してください。
注意したいのは、ボーナスや残業代は年によって変わりやすい、という点です。ふるさとチョイスは、ボーナスは会社の業績に左右されるため、確実に支給されると分かっている最低ラインで計算する、という考え方を紹介しています(ふるさとチョイス、前掲)。寄付をするのは今年の分ですから、前年の支払金額をそのまま入れるのではなく、今年の見込みで考えるのが基本です。詳しくはいつの年収で決まるかの記事で解説しています。
関連して、次のようなケースは別の記事で扱っています。
- 12月の給与・賞与や年末調整との関係:ふるさと納税は年末調整で申告できる?
- 社会人1年目で、前年の源泉徴収票がない・年の途中から働き始めた場合:社会人1年目のふるさと納税
- 副業など、給与以外の収入がある場合:副業がある会社員のふるさと納税
額面で調べる手順
ここまでをまとめると、目安表やシミュレーターで調べる手順は次のようになります。
- 額面の年収を決める:前年の源泉徴収票の支払金額を出発点にします。今年の収入が前年と変わりそうなら、ボーナスや残業代も含めた今年の見込みで考えます。手取り額は使いません。
- 非課税の交通費の扱いを確認する:給与明細の総支給額から出す場合は、非課税の通勤手当が含まれていると支払金額とずれることがあります。
- 入力欄の案内を読む:シミュレーターごとに、年収、給与収入などの名前や説明が違います。案内に従って入力します。
- 表示された金額は目安として使う:ふるさとチョイスのシミュレーターも、控除上限額は今年の所得金額から算出されるため目安として考えるよう案内しています(ふるさとチョイス「控除上限額シミュレーション」)。見込みで入力した場合は、表示された額ぎりぎりではなく、少し余裕を持たせた金額にとどめておくと安心です。
額面で上限額の目安が分かったら、次は寄付先を選ぶ段階です。
上限額の目安が分かったら、ポータルサイトから寄付先を選びます。ポータルサイトの一つに、次のサービスがあります。
手取りで入れてしまうとどうなるか
手取りは額面より小さい金額ですので、手取りで入力すると、実際より低い年収で調べることになります。その結果、表示される目安は、額面で調べた場合の目安とは違ったものになります。年収が違えば目安も変わる、という点は、目安表の例でも確認できます。
ただ、慌てる必要はありません。手取りで入力していたことに気づいたら、額面で入力し直して、もう一度確かめればよいだけです。どの程度ずれるかは人によって違いますので、この記事では金額は示しません。すでに寄付をしてしまった場合や、金額に不安がある場合は、次の見出しの案内のとおり、お住まいの自治体や税務署に相談してください。
個別の税務相談についての注意
まとめ
目安表やシミュレーターに入れる年収は、手取りではなく、税金や社会保険料が引かれる前の額面で考えます。会社員は、源泉徴収票の支払金額が目安になります。非課税の範囲内の通勤手当(交通費)は支払金額に含まれず、ボーナスは含まれます。給与明細の総支給額から考えるときは、交通費の分でずれることがある点に注意してください。ボーナスや残業代は年によって変わるため、今年の見込みで、余裕を持たせて考えます。
源泉徴収票の欄の見方はふるさと納税の控除上限額を調べる方法、いつの年収で考えるかはふるさと納税の上限額はいつの年収で決まるかで解説しています。
寄付先のポータルサイトを選ぶときの参考に、次のサービスもあります。


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