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年の途中で転職・退職した年のふるさと納税|控除上限額の考え方と手続きの注意点

控除上限額・シミュレーション
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今年、転職した・退職した・これから退職する予定という会社員の方は、「年の途中で収入が変わったけれど、今年のふるさと納税はどう考えればいいのか」と迷いやすいと思います。上限額が「寄付をする年の収入」で決まるという基本は、ふるさと納税の控除上限額は「いつの年収」で決まる?で解説しました。本記事はその一歩先として、転職・退職した年に、収入の数え方や年末調整・確定申告・ワンストップ特例の手続きがどう変わるかを、公式情報をもとに整理するものです。個別の税額や上限額を計算・断定するものではありません。上限額の目安の調べ方そのものは、ふるさと納税の控除上限額を調べる方法で解説しています。

転職・退職した年も、上限額は「その年の年収」で決まる

ふるさとチョイスは、去年の源泉徴収票はあくまで目安で、実際にはその年の1月から12月の年収が基準になると説明しています(ふるさとチョイス「ふるさと納税の限度額はいつの年収で決まる?」)。 転職した年については、同じページに「前職の源泉徴収票と、今の職場の給与を合算したものが今年の年収になります。」とあります。つまり前の勤務先と今の勤務先の給与を合わせた金額が、その年の上限額を考えるときの年収です。

ここで注意したいのは、年の途中で収入が減る場合です。退職してから収入のない期間がある、転職で給与が下がったという年は、その年の年収の合計が前年より少なくなります。前年の源泉徴収票をそのまま当てはめた目安は、実際の上限額より高めに出てしまうおそれがあり、見込みより上限額が下がることがあります。 土岐市も、前年の所得等は「目安」として使うよう案内しています(「前年の所得等を参考に目安としてご使用ください」。土岐市「寄附金控除の上限額の計算」)。

転職した年の年末調整は、前の勤務先の源泉徴収票が必要

転職した年は、手続きの面でも注意点があります。まず年末調整です。国税庁は、年の途中で就職して年末まで勤務している人も年末調整の対象になるとしています(国税庁「No.2674 中途就職者の年末調整」)。 前の勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出して給与を受けていた場合は、その給与を含めて年末調整を行う必要があります(同上)。

前の勤務先の給与の金額や、そこで徴収された所得税・社会保険料の額は、前の勤務先から交付を受けた「給与所得の源泉徴収票」などで確認します(同上)。 年の途中で退職した人への源泉徴収票は、退職の日以後1か月以内に交付しなければならないとされています(国税庁「No.7411 「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等」)。 前の勤務先を辞めたときにもらった源泉徴収票を、なくさずに転職先へ出すことが大切です。

源泉徴収票を出せないと、年末調整が受けられません。国税庁は、この確認ができないときは年末調整を行うことはできず、本人が確定申告で精算することになると説明しています(同上「No.2674」)。 年末調整ができずに確定申告をすることになると、次に見るとおり、ふるさと納税のワンストップ特例にも影響します。

年末に退職したまま年を越す場合は、確定申告でふるさと納税も申告する

退職してそのまま再就職せずに年を越す場合は、さらに事情が変わります。国税庁は、年の途中で退職したまま再就職しない場合は年末調整を受けることができず、所得税及び復興特別所得税が納め過ぎとなる場合があると説明しています(国税庁「No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき」)。 同じ年に再就職をした場合は、原則として新しい勤務先で前の勤務先の給与を含めて年末調整をすることになっているため、納め過ぎは解消するとされています(同上)。 再就職しないまま年を越した場合の納め過ぎは、翌年に確定申告をすれば還付を受けられ、この申告は退職した年の翌年以降5年以内であれば行えますが、必要な添付書類がそろい次第、早めに行うことが勧められています(同上)。

なお、年の途中で退職した人でも、年末調整の対象になる例外があります。国税庁は年の途中で年末調整を行う対象として、たとえば「12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した人」を挙げています(国税庁「No.2665 年末調整の対象となる人」)。 自分がどちらに当たるかは、勤務先や税務署に確認してください。

では、ふるさと納税はどうなるのでしょうか。ワンストップ特例は、総務省の説明では「確定申告の不要な給与所得者等で、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内である場合に限り」使える仕組みです(総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」)。 広島市は、ワンストップ特例の対象にならない例として「年の中途で退職し、年末調整を受けていない給与所得者の方など」を挙げています(広島市「ふるさと納税ワンストップ特例申請後の注意点」)。 寄付先の自治体によって案内が異なる場合もあるため、退職したまま年を越す予定の人は、確定申告で寄附金控除を受ける前提で考え、寄付先の案内も確認しておくと安心です。

確定申告をする場合は、申告書にふるさと納税の寄附先と金額を記載します。国税庁は、住民税に関する事項の欄にもふるさと納税として寄附された金額を必ず記載するよう案内しています(国税庁「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」)。

ワンストップ特例の申請書を出していても、確定申告をすると特例の申請は無効になります。国税庁は「確定申告を行う方は、ふるさと納税ワンストップ特例の申請が無効となるため、ワンストップ特例の申請をした分も含めて寄附金控除額を計算する必要があります」と明記しています(国税庁「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」)。転職や退職で確定申告をすることになった年は、その年に寄付したふるさと納税の分も確定申告に含めてください。

ワンストップ特例の条件や無効になるケースは、ふるさと納税のワンストップ特例のやり方で解説しています。

整理すると、年末の状況によって手続きは次のように分かれます(上で挙げた出典をもとにした整理です)。

年末の状況 年末調整 ふるさと納税の手続き
年末まで転職先に在籍し、前の勤務先の源泉徴収票を提出した 転職先で、前の勤務先の給与を含めて受ける 他に確定申告が必要な事情がなく、寄付先が5団体以内なら、ワンストップ特例も選べる
年末まで転職先に在籍したが、前の勤務先の源泉徴収票を確認できなかった 前の勤務先の給与を含めた年末調整は受けられない 確定申告が必要。ワンストップ特例は使えない
退職したまま年を越す(年内に再就職しない) 原則として受けられない(例外あり) 確定申告で寄附金控除を申告する

上限額は、源泉徴収票が出てから答え合わせをする

収入が確定するのは、年が終わってからです。今の勤務先の源泉徴収票は、すべての受給者に対し翌年の1月31日までに交付するものとされています(前掲の国税庁「No.7411」)。 年内に寄付をする時点では、今の勤務先の源泉徴収票はまだ手元にない人が多いはずです。土岐市も「寄附する時点では、その年の所得や所得控除が確定していないため、正確な上限額を算出することはできません」と案内しています(土岐市「寄附金控除の上限額の計算」)。

そこで、本記事では次のような進め方を考え方の一例として紹介します(公式に定められた手順ではありません)。

  1. 前の勤務先の源泉徴収票を手元に用意する:退職時に交付されたものの「支払金額」などを確認します。欄の見方はふるさと納税の控除上限額を調べる方法で解説しています。
  2. 今の勤務先の、年内の給与の見込みを考える:毎月の給与明細や、賞与の有無から、年末までの合計を見積もります。
  3. 前の勤務先の分と今の勤務先の分を合わせた金額を、見込み年収としてシミュレーターに入力する:家族構成や他の控除の入力は、上の記事にまとめています。
  4. 表示された金額より少なめの範囲で寄付額を決める:見込みである以上、金額ぎりぎりを狙わず、余裕を持たせておきます。
  5. 年が明けて源泉徴収票がそろったら、実際の収入で見直す:控除の上限を超えて寄付していた場合について、総務省は「合計しても(ふるさと納税額-2,000円)の全額が控除されず、実質負担額は2,000円を超えます」と説明しています(総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」)。

特に退職後の収入が読みにくい年は、年内の寄付を急いで多めに決めず、収入の見通しが立ってから寄付額を決めるという考え方もあります。具体的な金額は、総務省も「具体的な計算は、お住まいの市区町村にお問い合わせください。」としています(総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」)。

収入の見通しが立ち、寄付額の目安が決まったら、ポータルサイトから寄付先を選びます。ポータルサイトの一つに、次のサービスがあります。

さとふる

退職金・失業給付の扱いは、この記事では扱いません

退職金(退職一時金)を受け取った場合の上限額への影響は、この記事では扱いません。受け取った金額や書類を手元に、税務署またはお住まいの自治体に確認してください。

雇用保険の給付については、国税庁の確定申告書等作成コーナーのQ&Aに、雇用保険法の求職者給付は同法の規定により課税されないことになっている、という説明があります(国税庁 確定申告書等作成コーナー「雇用保険法上の求職者給付を受給している配偶者」)。 ただし、このQ&Aは配偶者控除の判定についての回答です。受け取っている給付がどれに当たるのか、ふるさと納税の上限額の見込みにどう関わるのかは、この記事では扱いません。ハローワーク・税務署・お住まいの自治体に確認してください。

個別の税務相談についての注意

本記事は制度の一般的な仕組みとシミュレーターの使い方を解説するものであり、個別の税額計算や税務相談を目的としたものではありません。実際の控除上限額はご自身の収入・控除状況によって異なるため、必ず公式シミュレーターでの試算、または税務署・お住まいの自治体・税理士へご確認ください。

まとめ

転職・退職した年も、ふるさと納税の上限額は、寄付をする年の1月から12月の年収で決まります。転職した年は前の勤務先と今の勤務先の給与を合わせた金額で考え、年の途中で収入が減る場合は、前年の源泉徴収票をもとにした目安より上限額が下がることがあります。転職先で年末調整を受けるには前の勤務先の源泉徴収票が必要で、確認できなければ確定申告になります。退職したまま年を越す場合も、年末調整は原則として受けられません。確定申告をするとワンストップ特例の申請は無効になるため、ふるさと納税の寄付も確定申告に含めます。収入が確定する前の寄付は見込みなので、余裕を持たせた金額にとどめ、源泉徴収票がそろったら見直してください。退職金・失業給付の扱いは、税務署や自治体に確認してください。

上限額が「いつの年収」で決まるかはふるさと納税の控除上限額は「いつの年収」で決まる?、上限額の調べ方はふるさと納税の控除上限額を調べる方法、ワンストップ特例の条件はふるさと納税のワンストップ特例のやり方で解説しています。ふるさと納税全体の流れは、ふるさと納税、初めての会社員が知っておきたい一連の流れをご覧ください。

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