就職して最初の年は、ふるさと納税をしてよいのか、いくらまでが目安なのか、いつ控除されるのかが分かりにくいと思います。本記事は、4月に就職した会社員を例に、1年目の収入をどう見積もるか、控除がいつの住民税に反映されるか、住民税が引かれ始める2年目とどう関係するかを、公式情報で整理するものです。個別の税額や上限額を計算・断定するものではありません。1年目に寄付をするかどうかを勧めたり止めたりするものでもなく、判断材料を並べる記事です。
先に結論:1年目も考え方は同じ、控除先は翌年度の住民税
- 控除上限額の目安は、寄付をする年の収入を見込んで考えます。1年目もこの点は同じです
- 控除は、寄付をした年の翌年度の住民税から差し引かれます
- 1年目の住民税が少ない、またはかからないことと、ふるさと納税の控除が差し引かれる住民税は、別の話です
- 住民税が引かれ始めることで2年目の上限額が減る、と説明した公的な案内は、本記事の執筆時点で見つけられていません
それぞれの根拠は、以下の見出しで示します。
1年目でも、その年に寄付した分をその年の収入で考える
本記事で確認した公式ページには、1年目の人だけに適用される別の計算ルールは出てきませんでした。考え方は他の年と同じです。土岐市は「ふるさと納税の寄附金控除は、寄附した年の所得等から算出した税額が控除されます。」と説明しています(土岐市 寄附金控除の上限額の計算)。いつの年収で決まるかの詳しい説明は、ふるさと納税の上限額は、いつの年収で決まる?にまとめています。
1年目の特徴は、年の途中から給与が支払われ始めることです。そのため、その年に支払われる給与の範囲で、見込みを考えることになります。就職前の年の収入や、内定時に聞いた年収の額を、そのまま当てはめるものではありません。
同じ土岐市のページには、「寄附する時点では、その年の所得や所得控除が確定していないため、正確な上限額を算出することはできません。」とあります(土岐市 同上)。 寄付の時点で分かるのは見込みの金額だけです。12月に支払われる給与や賞与をどう数えるかは、ふるさと納税は年末調整で申告できる?で整理しています。
1年目の上限額の目安の出し方
ここでは、考え方の一例として手順を紹介します。公式に定められた手順ではありません。
- その年に受け取る見込みの給与と賞与を合計する:給与明細や、会社から案内された賞与の見込みをもとに、その年のうちに支払われる分を見積もります。入社月から12月までの分が中心になる人が多いはずです
- 家族構成を確認する:配偶者や扶養している家族がいるかどうかを、シミュレーターの入力欄に合わせて確認します
- 目安表かシミュレーターに当てはめる:総務省の目安表の見方や、各ポータルサイトのシミュレーターの入力項目は、ふるさと納税の控除上限額を調べる方法で解説しています。年の途中から働き始めた人の入力のしかたは、使うシミュレーターの案内に従ってください
- 表示された金額は目安として、少なめの範囲で寄付額を決める:寄付の時点では正確な上限額が分からないので、金額ぎりぎりを狙わず、余裕を持たせておくと安心です
年の途中で就職しただけでなく、転職や退職もあった人は、年の途中で転職・退職した年のふるさと納税もあわせてご覧ください。
上限額の目安が分かったら、ポータルサイトから寄付先を選びます。ポータルサイトの一つに、次のサービスがあります。
住民税が引かれ始める2年目との関係
住民税は前年の収入をもとに、翌年6月から課税される
住民税の仕組みから確認します。板橋区は「住民税は、前年中の収入に基づき翌年の6月に課税されます。」と説明しています(板橋区 住民税 よくある質問)。 給与から差し引く方法(特別徴収)は、6月から翌年5月までの12回の給与で住民税を差し引く方法とされています(同上)。
1年目の住民税については、大阪府の新規採用職員向けの案内に、「初めて就職するなど前年の課税対象所得がない場合、住民税はかかりません。」とあります(大阪府 よくある質問一覧〔住民税関係〕)。 これは府の職員向けの案内です。一般の住民向けに同じことを明記した公的ページは、今回確認できていません。学生時代のアルバイトなどで前年に所得があった場合の扱いも含め、ご自身の住民税は、お住まいの市区町村にご確認ください。
これらの説明を組み合わせると、前年に課税対象の所得がなかった人は、就職した年(1年目)には住民税がかからず、1年目の収入をもとにした住民税が2年目の6月から課される、と考えられます。ただし、これは前年に課税対象の所得がなかった場合の例で、全員に当てはまるわけではありません。
ふるさと納税の控除は、寄付した年の翌年度の住民税から
次に、ふるさと納税の控除がどの住民税から差し引かれるかです。川崎市は「ふるさと納税は、寄附を行った年の翌年度の個人住民税から税額控除を受けられる制度です。」と説明しています(川崎市 よくある質問)。 江戸川区も、寄付をした翌年度の住民税(6月〜翌年5月)に反映されると案内しています(江戸川区 ふるさと納税ワンストップ特例制度)。
つまり、1年目の住民税の額と、ふるさと納税の控除は別の話です。1年目の住民税が少ない、またはかからなくても、1年目に寄付した分の控除は、翌年度の住民税から差し引かれる仕組みです。時期を整理すると、次のようになります(2026年に就職し、前年に課税対象の所得がなかった場合の例です)。
| 2026年(1年目) | 2027年6月〜2028年5月 | |
|---|---|---|
| 住民税 | 前年に課税対象の所得がなければ、かからない(大阪府の職員向けの案内) | 2026年の収入をもとにした住民税が課される(板橋区の説明を当てはめた例) |
| ふるさと納税 | 寄付をする年。上限額の目安も、この年の収入を見込んで考える | 2026年の寄付の控除が反映される(江戸川区・川崎市の説明) |
2年目の上限額はどうなるのか
ワンストップ特例か確定申告か
会社員がふるさと納税の控除を受ける方法は、ワンストップ特例か確定申告です。国税庁は、ワンストップ特例について、確定申告が不要な給与所得者の方は、ふるさと納税先が5団体以内の場合に限り、ふるさと納税先団体に申請することで寄附金控除を受けられると説明しています(国税庁 No.1155 ふるさと納税(寄附金控除))。 一方、ワンストップ特例を使わない場合は、同じページに「ふるさと納税として寄附された金額について、控除を受けるためには、ふるさと納税を行った年分において確定申告をする必要があります」とあります(同上)。
ワンストップ特例を使った場合の控除について、江戸川区は「この制度の適用を受けると、所得税からの控除は行われず、その分も含めた控除額の全額が住民税からまとめて受けられます。」と案内しています(江戸川区 ふるさと納税ワンストップ特例制度)。 申請書の期限は、同じ江戸川区のページに「ワンストップ特例の申請書は寄附の翌年1月10日(必着)までに申請が必要です。」とあります(同上)。
年の途中で就職した人の年末調整について、国税庁は、年の中途で就職し、年末まで勤務している人についても年末調整の対象になる、と説明しています(国税庁 No.2674 中途就職者の年末調整)。 ただし、年末調整を受けたかどうかと、ワンストップ特例が使えるかどうかは別の話です。他に確定申告が必要な事情があるかどうかなどで変わります。詳しくは、ワンストップ特例のやり方と、年末調整との関係で解説しています。
上限額の目安と手続きの方法の見当がついたら、ポータルサイトで寄付先を選びます。ポータルサイトの一つに、次のサービスがあります。
個別の税務相談についての注意
まとめ
社会人1年目も、ふるさと納税の上限額の目安は、寄付をする年に支払われる給与や賞与の見込みで考えます。就職前の年の収入や内定時の年収をそのまま当てはめるものではなく、寄付の時点では正確な金額は分からないので、少なめの範囲で考えると安心です。控除は寄付した年の翌年度の住民税から差し引かれるため、1年目の住民税の額とは別の話になります。2年目に上限額が減るという説明は公式情報では確認できておらず、2年目の目安は2年目の収入の見込みでもう一度調べます。手続きはワンストップ特例か確定申告かを、年末までに確認しておきましょう。
ふるさと納税全体の流れは、ふるさと納税、初めての会社員が知っておきたい一連の流れで解説しています。


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