ふるさと納税を初めて使うとき、「上限額は去年の源泉徴収票の金額で考えればいいのか」「今年の年収はまだ分からないのに、どうやって調べるのか」で迷う人は多いと思います。結論から言うと、上限額のもとになるのは寄付をする年の収入です。本記事は、この「いつの年収か」という点を公式情報をもとに整理するものであり、個別の税額や上限額を計算・断定するものではありません。上限額の調べ方そのもの(目安表とシミュレーターの使い方)は、ふるさと納税の控除上限額を調べる方法で解説しています。
控除の対象になるのは、その年に寄付した分
まず前提として、控除の対象になるのは、その年の1月1日から12月31日までの間に寄付した分です。寄附金控除の計算に使うのは「その年に支出した特定寄附金の額の合計額」と「その年の総所得金額等の40パーセント相当額」のいずれか低い金額とされています(国税庁「No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」)。国税庁も、控除を受けるためには「ふるさと納税を行った年分において確定申告をする必要があります」と説明しています(国税庁「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」)。つまり1年ごとに区切って考える制度で、年をまたいで繰り越すような仕組みではありません。
区切りになるのは12月31日です。年末の扱いは自治体ごとに案内されており、たとえば千代田区は令和7年(2025年)分の寄付について「令和7年分の寄附は令和7年12月31日中に『入金確認』ができたものが対象になります」と説明し、「決済方法や通信状況等により日付をまたいだものは翌年令和8年寄附の扱いとなりますので、ご注意ください」と注意を促しています(千代田区「ふるさと納税 年末年始の対応」)。
上限額は「寄付をした年」の収入で決まる
本題です。控除上限額のもとになるのは、前年の年収ではなく、寄付をした年の収入や控除の状況です。土岐市は「ふるさと納税の寄附金控除は、寄附した年の所得等から算出した税額が控除されます」と説明しています(土岐市「寄附金控除の上限額の計算」)。
計算式を見ても同じことが分かります。総務省は控除額の計算を、所得税からの控除は「(ふるさと納税額-2,000円)×『所得税の税率』」、住民税からの控除(特例分)は住民税所得割額の2割を超えない範囲で決まる、と説明しています(総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」)。ここで使う所得税の税率も住民税所得割額も、寄付をした年の所得をもとに決まる数字です。だから、その年の収入が変われば上限額の目安も変わります。
だから、寄付する時点では正確な金額は分からない
ここが、初めての人がいちばん戸惑うところだと思います。寄付をする時点では、その年の所得はまだ確定していません。土岐市も「寄附する時点では、その年の所得や所得控除が確定していないため、正確な上限額を算出することはできません」と明記しています(同上)。
それなら市区町村に聞けばいいのでは、と思うかもしれませんが、総務省のページには「具体的な計算は、お住まいの市区町村にお問い合わせください。」とある一方で、自治体によっては控除の対象となるふるさと納税額の上限を答えられない場合がある、という注記も添えられています(総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」)。土岐市も「市町村においても、寄附の対象期間内に寄附上限額を正確に算定することはできないため、情報確定前の金額算定には応じかねます」と案内しています。
つまり、寄付をする時点で使えるのは「見込み」の金額だけです。住民税からの控除(特例分)が住民税所得割額の2割を超える場合、すなわち実質的に上限を超えて寄付した場合について、総務省は、3つの控除を「合計しても(ふるさと納税額-2,000円)の全額が控除されず、実質負担額は2,000円を超えます」と説明しています(総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」)。見込みで動いている以上、目安の金額ぎりぎりを狙わず、少し余裕を持たせた金額にとどめておくのが安全な使い方です。
前年の源泉徴収票を参考にするときの注意
では見込みは何をもとに出すのかというと、実務上は前年の実績を手がかりにします。土岐市も上限額の計算方法について「前年の所得等を参考に目安としてご使用ください」と案内しています(土岐市「寄附金控除の上限額の計算」)。手元にある前年の源泉徴収票を入口にすること自体は、自治体も想定している方法です。
ただし、これはあくまで、今年も前年と近い収入になりそうなら、という前提での目安です。今年の収入が前年と大きく変わりそうな場合、前年の数字を当てはめた結果は実態から離れます。とくに前年より収入が減る見込みのときは、前年ベースの目安のままで寄付すると上限額を超えてしまうおそれがあります。
転職・退職した年の年末調整や確定申告の扱いは、[転職・退職した年のふるさと納税](https://furusato-hajimete.com/furusato-job-change-year/)で解説しています。産休・育休に入る年・復帰する年については、[産休・育休の年のふるさと納税](https://furusato-hajimete.com/furusato-limit-maternity-leave/)で解説しています。
いつの年収かと、いつ控除されるかは別の話
もう一つ混同しやすいのが、控除される時期です。上限額のもとになる年と、税金が戻る・安くなる時期は別々なので、分けて理解しておくと迷いません。
総務省は、確定申告を行った場合について「所得税分はその年の所得税から控除(還付)され、住民税分は翌年度の住民税から控除(住民税の減額)されます」と説明しています(総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」)。一方、ワンストップ特例を使った場合は「所得税からの控除は行われず、その分も含めた控除額の全額が、翌年度の住民税から控除されます」とされています(同上)。土岐市は、ワンストップ特例を利用した場合の控除について「ふるさと納税を行った翌年の6月以降に支払う住民税の減額という形で控除を受ける」と案内しています(土岐市「寄附金控除の上限額の計算」)。
整理すると次のようになります。
| 確定申告をする場合 | ワンストップ特例を使う場合 | |
|---|---|---|
| 上限額のもとになる年 | 寄付をした年の所得等 | 寄付をした年の所得等 |
| 所得税 | 寄付をした年の所得税から控除(還付) | 所得税からの控除は行われない |
| 住民税 | 翌年度の住民税から控除 | 控除額の全額が翌年度の住民税から控除 |
住民税の控除が翌年度になるからといって、上限額を「翌年の年収」で考えるわけではない、という点だけ押さえておけば十分です。ワンストップ特例の申請方法はふるさと納税のワンストップ特例のやり方で解説しています。
見込みの年収で上限額を調べるときの進め方
以上を踏まえると、実際の手順は次のようになります。
- その年の見込み年収を決める:前年の源泉徴収票を出発点にしつつ、今年の収入が前年と大きく変わりそうなら、その点を反映させます。
- 家族構成と、他に受けている控除を確認する:配偶者控除・扶養控除の有無、住宅ローン控除や医療費控除などが上限額の目安に影響します。
- 公式シミュレーターや目安の表で調べる:入力項目や目安表の見方はふるさと納税の控除上限額を調べる方法で解説しています。共働きの場合の注意点は共働き夫婦が控除上限額を調べるときの注意点にまとめました。
- 表示された金額より少なめの範囲で寄付額を決める:見込みで出した目安である以上、余裕を持たせておくと、年末に収入が想定とずれても慌てずに済みます。
寄付先を選ぶ段階になったら、ふるさと納税のポータルサイトを利用することになります。
個別の税務相談についての注意
まとめ
ふるさと納税の控除上限額は、前年の年収ではなく、寄付をした年の所得等をもとに決まります。その年の所得は年末まで確定しないため、寄付をする時点で分かるのは見込みの金額だけで、自治体も対象期間中の正確な算定には応じられないと案内しています。前年の源泉徴収票は出発点として使えますが、今年の収入が大きく変わりそうなときは当てになりません。控除される時期(所得税は寄付をした年、住民税は翌年度)と混同しないようにしつつ、目安より少し余裕を持たせた金額で寄付額を決めておくと安心です。
ふるさと納税全体の流れは、ふるさと納税、初めての会社員が知っておきたい一連の流れで解説しています。


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