ひとり親控除を受けている人は、ふるさと納税の上限額の目安が変わるのか、シミュレーターのどこに入れればいいのか、と迷うことがあります。本記事は、2026年10月時点の公式情報をもとに、2026年中に寄付する会社員を想定して、ひとり親控除の要件と、上限額の目安への影響の考え方、調べ方を整理するものです。個別の税額や上限額を計算・断定するものではありません。上限額の調べ方そのもの(目安表とシミュレーターの基本)は、ふるさと納税の控除上限額を調べる方法で解説しています。
ひとり親控除とは:要件と控除額
国税庁は、納税者がひとり親であるときは、一定の金額の所得控除を受けることができると案内しています(国税庁「No.1171 ひとり親控除」)。
ひとり親とは、原則としてその年の12月31日の現況で、婚姻をしていないことまたは配偶者の生死の明らかでない一定の人のうち、次の3つの要件のすべてに当てはまる人です(同上)。
- 事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと
- 生計を一にする子がいること
- 合計所得金額が500万円以下であること
控除額は、同じページで35万円と示されています(令和8年4月1日現在法令等)。
控除額や要件は税制改正で変わることがあるので、寄付する年の分は国税庁のページで確認してください。
生計を一にする子の所得の条件は年分で違う
2の子には所得の条件があります。国税庁によると、その年分の総所得金額等が58万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。令和2年分から令和6年分までは48万円以下でした(同上)。
令和8年(2026年)分からは、この金額が62万円以下になります(同上)。
| 年分(所得税) | 子の総所得金額等の条件 |
|---|---|
| 令和2年分〜令和6年分(2020〜2024年分) | 48万円以下 |
| 令和7年分(2025年分) | 58万円以下 |
| 令和8年分以降(2026年分〜) | 62万円以下 |
2026年中に寄付する人にとって、この年は2026年分の所得税(令和8年分)にあたります。住民税は、2026年中の所得をもとに2027年度(令和9年度)の分として計算されます。仙台市は、令和9年度から、ひとり親控除の生計を一にする子の総所得金額等が62万円以下に改正されたと案内しています(仙台市「令和9年度(令和8年分)から適用される個人市県民税の税制改正等について」)。同じページは、住民税のひとり親控除についても、本人の合計所得金額が500万円以下であることを要件として挙げています。住民税の控除額は、この記事では確認できていないため、お住まいの自治体の案内を見てください。
要件に当てはまるかどうかは、原則としてその年の12月31日の現況で見ます(前掲の国税庁の説明)。迷うときは勤務先の担当部署か税務署に確認してください。
ひとり親控除があると、上限額の目安が下がる方向に働く理由
ひとり親控除は所得控除です(上の国税庁の説明)。仕組みを言葉にすると、次の流れになります。この流れは本記事での整理です。
- 所得控除を受けると、税金の計算のもとになる所得が小さくなる
- 所得が小さくなると、本人が納める所得税・住民税が少なくなる
- ふるさと納税の控除は、寄付した本人が納めている所得税・住民税から差し引かれる仕組みなので、納める税金が少ないほど、控除される金額の上限(控除上限額)の目安も小さくなる
つまり、同じ年収で、ほかの条件が同じなら、ひとり親控除がある人の上限額の目安は、ない人より低めに出る方向に働きます。どれくらい下がるかは、年収やほかの控除によって変わるため、この記事では金額を計算しません。上限額は世帯でひとつではなく、寄付をする本人ごとに考えます。
目安表は、ひとり親控除まで反映していないことがある
全額控除されるふるさと納税額(年間上限の目安)の表は、自治体のページなどに載っています。ここでは鹿児島市の表を例に見ます(鹿児島市「全額控除される寄附額の目安」)。ひとり親の人が見るときは、次の点に注意してください。
- 前提が限られている:この表は、給与収入のみで、住宅ローン控除等を受けていない人のケースです。ひとり親控除についての記載は、表と注記には見当たりません。
- 家族構成の列は、配偶者がいるかどうかが軸:列は独身又は共働き、夫婦、共働き+子、夫婦+子などで、ひとり親の列は見当たりません。注記では、夫婦の列は、ふるさと納税をした者の配偶者に収入がないケースを指すとされています。配偶者がいない人がどの列を見ればよいかは、表からは読み取れません。
- あくまで目安:表には、あくまで目安であり、具体的な計算は、お住まい(ふるさと納税翌年1月1日時点)の市区町村にお尋ねください、と書かれています。
したがって、目安表だけで寄付額を決めないほうが安全です。
シミュレーターで、ひとり親控除をどこに入れるか
各ポータルサイトのシミュレーターには、サイトによって、通常の入力のほかに詳細に入力できる画面があります。入力画面の全体の流れは控除上限額を調べる方法で解説しているので、ここではひとり親に関わる部分だけを説明します。欄の名前や並び方はサイトによって違うため、実際の画面の説明に従ってください。
- 自分が要件に当てはまるかを、12月31日時点で確認する:婚姻の状況、生計を一にする子がいるか、本人の合計所得金額が500万円以下か、を前の見出しの要件で見ます。子の所得の条件は、2026年分なら62万円以下です。
- 詳細入力で、ひとり親控除に当たる欄を探す:ひとり親控除、寡婦・ひとり親など、サイトによって名称は違います。欄が見当たらない場合や、説明が分からない場合は、そのサイトの案内ページやヘルプで確認してください。
- 扶養している子どもの情報も入れる:人数や年齢を入れる欄がある場合は、自分が扶養に入れている子について入力します。
- 年収は、いつの年収を入れるかを確認する:寄付する年の年収は見込みになります。考え方は控除上限額はいつの年収で決まるかで解説しています。
- ひとり親控除を受けているか迷うときは、勤務先に確認する:年末調整でひとり親控除の申告をしたかどうかが分からない場合は、勤務先の担当部署や税務署に確認してください。
- 表示された金額は目安として使う:シミュレーターが2026年分の税制改正(子の所得の条件の見直しなど)を反映しているかは、各サイトの注記で確認してください。上限ぎりぎりを狙わず、少し余裕を持たせると、上限を超えにくくなります。
上限額の目安が分かったら、ポータルサイトから寄付先を選びます。ポータルサイトの一つに、次のサービスがあります。
子どもが16歳以上の年は、別の控除も関わる
子どもが高校生・大学生の年齢になると、ひとり親控除とは別に、扶養控除や特定扶養親族などが関わってきます。年齢による区分や、子どもがアルバイトをしたときの扱いは、子どもが高校生・大学生になった年のふるさと納税で解説しています。
ワンストップ特例か確定申告かは、別の条件で決まる
ワンストップ特例を使えるかどうかは、ひとり親控除の有無とは別の条件で見ます。柏市は、対象を、ふるさと納税以外で所得税の確定申告(住民税の申告を含む。)を行う必要のない方で、寄付先が計5団体以内であること、と案内しています(柏市「ふるさと納税のワンストップ特例」)。
自分がどちらになるかは、申請の手順とあわせてふるさと納税のワンストップ特例のやり方で確認してください。
個別の税務相談についての注意
まとめ
ひとり親控除は所得控除なので、受けている人は、納める税金が少なくなる分、控除上限額の目安は低めに出る方向に働きます。要件は、12月31日の現況で、事実上婚姻関係と同様の事情にある人がいないこと、生計を一にする子がいること、本人の合計所得金額が500万円以下であることです。子の所得の条件は年分で違い、2026年分からは62万円以下です。目安表は、ひとり親控除まで反映していないことがあるため、目安表だけで決めず、詳細入力のあるシミュレーターで確認してください。
ふるさと納税全体の流れは、ふるさと納税、初めての会社員が知っておきたい一連の流れで解説しています。


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