ふるさと納税で寄付をしたあと、確定申告をせずに控除の手続きを済ませられるのが「ふるさと納税ワンストップ特例制度」です。本記事は、初めてこの制度を使う会社員の方に向けて、利用できる条件、申請書の入手から郵送までの手順、本人確認書類の組み合わせ、申請期限、申請が無効になるケースまでを、総務省・国税庁・自治体の公式情報をもとに解説します。
結論:まず押さえておくこと
- 申請できるのは、確定申告の不要な給与所得者等で、寄付先の自治体数が5団体以内である場合に限られます(総務省「ふるさと納税のしくみ|ふるさと納税の流れ」)。
- 申請書は、寄付先の自治体ごとに、寄付の申込みごとに提出します。期限は寄付をした翌年の1月10日必着です。
- ワンストップ特例では所得税からの控除は行われず、控除額の全額が翌年度の住民税から控除されます。確定申告をした場合とは戻り方が違います。
使えるのは誰か
総務省は、ワンストップ特例の申請には「確定申告の不要な給与所得者等で、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内である必要があります」と説明しています(総務省)。条件は次の2つで、両方を満たす必要があります。
- その年に寄付した自治体の数が5団体以内であること。 数えるのは寄付の回数ではなく自治体の数です。6団体以上に寄付した場合は確定申告を行う必要があります(総務省)。
- ふるさと納税以外の理由で確定申告をする必要がないこと。 国税庁も「確定申告が不要な給与所得者の方については、ふるさと納税先が5団体以内の場合に限り」と説明しています(国税庁「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」)。
寄付先が6自治体以上になった場合の扱いは、寄付先が6自治体以上になったらどうなる?で解説しています。申請した後に引っ越した・氏名が変わった場合の届出は、申請した後に引っ越したらで解説しています。
会社員でも確定申告が必要になる例として、大阪市は「給与の年間収入金額が2,000万円を超える方や、給与所得及び退職所得以外の所得が20万円を超える方」「医療費控除や雑損控除など寄附金控除以外にも確定申告をする必要がある方」を挙げています(大阪市)。住宅ローン控除も、給与所得者は「控除を受ける最初の年分」は確定申告書の提出が必要とされているため(国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」)、その年は確定申告のほうで寄附金控除をあわせて申告することになります。
申請の手順
1. 申請書を入手する
正式名称は「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」です。寄付の申込み時に申請書の送付を「希望する」と選ぶと、寄付先の自治体から郵送されるのが一般的です(熊野市「ふるさと納税Q&A」)。自治体のサイトからダウンロードすることもでき、たとえば大阪市は「申請書の様式は、寄附のお手続き完了後に大阪市から送付しますが、このホームページからもダウンロードが可能です」と案内しています(大阪市)。総務省は「ふるさと納税先の自治体によって、申請書が異なることがあります」と注意を促しています(総務省)。他の自治体の様式を流用せず、寄付先の案内に従ってください。
2. 寄付の申込みごとに1枚用意する
初めての方がもっともつまずきやすいのがここです。申請書は自治体ごとに、しかも寄付の申込みごとに必要です。熊野市は「申込の度に提出する必要があります。ただし、複数のワンストップ特例申請書を一つの封筒に同封する場合は、添付書類(マイナンバーの確認書類の写しと身分証明書の写し)は1セットで構いません」と案内しています(熊野市「ふるさと納税Q&A」)。A市に2回・B町に1回寄付したなら、A市へ2枚・B町へ1枚です。このとき自治体の数は2団体のままなので、5団体以内という条件には影響しません。
3. 記入し、本人確認書類を添えて郵送する
申請書には住所・氏名・生年月日・個人番号(マイナンバー)・寄付年月日・寄付金額などを記入し、本人確認書類の写しを添えて寄付先の自治体へ郵送します。佐野市はよくある不備として「旧住所のマイナンバー通知カードを添付している」「申請書記載の住所と添付書類のデータの不一致」「添付書類の不足」「申請書の提出先自治体の間違い」などを挙げています(佐野市「よくある不備」)。引っ越しをした方は、申請書の住所と添付書類の住所が一致しているか確認してください。
紙の申請書の欄ごとの書き方や、添付書類の組み合わせは、ワンストップ特例の申請書の書き方で詳しく解説しています。
本人確認書類の組み合わせ
添付するのは「マイナンバーを確認する書類」と「本人であることを確認する書類」の2種類で、マイナンバーカードの有無で組み合わせが変わります。
| 手持ちの書類 | 添付するもの |
|---|---|
| マイナンバーカードがある | マイナンバーカードの表面と裏面のコピー(これだけでよい) |
| カードはないが顔写真付きの身分証がある | 個人番号確認書類1点(通知カード、個人番号が記載された住民票の写しなど)+ 顔写真付きの本人確認書類1点(運転免許証、パスポートなど) |
| カードも顔写真付きの身分証もない | 個人番号確認書類1点 + 顔写真なしの公的書類2点 |
マイナンバーカードがある場合、「裏面だけ」では足りず表面と裏面の両方が必要です。
申請期限は翌年1月10日
伊賀市は「申請書にマイナンバーおよび本人確認書類を添付のうえ寄附された年の翌年1月10日(必着)までに提出してください」と案内しています(伊賀市)。
年末ぎりぎりの寄付では、申請書が郵送されないことがあります。たとえば熊野市は「12月23日以降のご寄附については、原則、特例申請書はお送りいたしません」とし、オンライン申請か、様式をダウンロードしての郵送を案内しています(熊野市「ふるさと納税Q&A」)。日付は自治体によって異なるため、年末に寄付する場合は寄付先の案内を確認してください。
申請後に引っ越しなどで記載事項に変更があった場合も、翌年1月10日までに申請先の自治体へ届け出れば特例が適用されます(総務省「ワンストップ特例を申請する皆様へ」)。届出には「申告特例申請事項変更届出書」を使います(伊賀市)。
オンライン申請という選択肢
紙の申請書を郵送する代わりに、オンラインで申請できる自治体もあります。総務省は「令和4年中にされた寄附から、一部の自治体においてマイナンバーカードを利用したワンストップ特例のオンライン申請が可能となっています。オンライン申請の対応状況等については、ふるさと納税先の自治体までお問合せください」と説明しています(総務省)。
必要になるのはマイナンバーカードと、スマートフォンの公的個人認証アプリなどです。使うサービスや手順は自治体ごとに異なり、すべての自治体が対応しているわけではありません。対応していれば申請書と本人確認書類の郵送は不要になります。締切の日付は自治体の案内で確認してください。
ワンストップ特例が無効になるケース
申請書を出していても、次の場合は特例が適用されません。総務省は適用されない場合として次の3つを挙げています。
- 医療費控除の申告などのため、確定申告をした、又は住民税の申告をした
- 6団体以上にワンストップ特例を申請した
- 寄附した翌年の1月1日の住所地が申請書に記載された市町村でなくなったにもかかわらず、変更の届出がされていない
無効になった場合は、確定申告でふるさと納税に係る寄附金を申告すれば控除を受けられます(総務省)。寄附金控除の申告は「原則として、寄附をした翌年の3月15日まで」とされています(総務省「税金の控除について」)。なお提出済みの申請書を取り下げる手続きは求められないのが一般的で、熊野市は「ワンストップ特例申請よりも確定申告が優先されるため、ワンストップ特例申請のキャンセル手続きは必要ありません」と案内しています(熊野市)。
控除のされ方は確定申告と違う
同じふるさと納税でも、手続きの方法によって税金の戻り方が変わります。
| 手続きの方法 | 控除のされ方 |
|---|---|
| 確定申告をする | 寄付をした年の所得税から控除され、既に納めている所得税がある場合は還付されることがある。加えて翌年度分の住民税が減額される |
| ワンストップ特例を申請する | 所得税からの控除は行われず、その分も含めた控除額の全額が翌年度分の住民税から控除される |
(総務省「ふるさと納税の流れ」、総務省「税金の控除について」)
つまり、ワンストップ特例では、ふるさと納税による所得税の還付は行われません。控除は、翌年6月以降に支払う住民税の減額という形で行われます(総務省「制度改正について(2015年4月1日)」)。還付金が振り込まれなくても失敗ではなく、翌年6月ごろに配られる住民税の決定通知書で控除額を確認できます。控除される金額には上限があり、その調べ方はふるさと納税の控除上限額を調べる方法で解説しています。
なお、2026年10月から適用される制度の見直しは自治体やポータルサイト運営事業者に対する基準が中心で、ワンストップ特例の条件や申請方法が変わるものではありません(内容は2026年10月から何が変わる?で解説しています)。
まとめ
ワンストップ特例は、確定申告の不要な給与所得者等で寄付先が5団体以内の場合に使える制度です。申請書は自治体ごと・寄付の申込みごとに用意し、本人確認書類を添えて翌年1月10日必着で郵送します(対応している自治体ならオンライン申請も可能です)。あとから確定申告をすると申請は無効になるため、その場合はふるさと納税分も確定申告に含めてください。控除は所得税の還付ではなく、翌年度の住民税の減額という形で行われます。
ふるさと納税全体の流れをまだ確認していない方は、ふるさと納税、初めての会社員が知っておきたい一連の流れもあわせてご覧ください。
これから寄付先を選ぶ場合は、ふるさと納税のポータルサイトを利用することになります。ポータルサイトの一つに、次のサービスがあります。
参考にした情報
- 総務省「ふるさと納税のしくみ|ふるさと納税の流れ」
- 総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」
- 総務省「ふるさと納税トピックス 制度改正について(2015年4月1日)」
- 総務省「<ワンストップ特例を申請する皆様へ>」(PDF)
- 国税庁「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」
- 国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
- 大阪市「『ふるさと納税ワンストップ特例制度』の利用を検討されている寄附者の皆様へ」
- 伊賀市「ふるさと納税ワンストップ特例申請について」
- 熊野市「ふるさと納税Q&A ワンストップ特例申請について」
- 浦添市「【ふるさと納税】ワンストップ特例申請時の必要書類について」
- 佐野市「ふるさと納税ワンストップ特例申請よくある不備」


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